慶應義塾は、幕末の1858年に福澤諭吉によって創立されました。明治維新をはさむ激動の時代を福澤は、「恰(あたか)も一身(いっしん)にして二生(にしょう)を経(ふ)るが如く」(文明論之概略)と記しています。そして今日もまた大きな変化の時代です。
世界の経済は国際金融危機以降、大きく変わりつつあります。さらにより大きな長期的な構造変化が人口の高齢化です。この大変化の時代に慶應義塾に求められているのは、福澤諭吉の創業の精神に立ちかえり、世の中の流行に惑わされず、主体的に世の行く末を考えることのできる独立自尊の人材を育てることです。その原動力となりますのが、卒業生、在学生、保護者、教職員など義塾関係者すべてを含む「社中」協力の精神です。
ここでご案内申し上げる慶應カードは、社中協力のひとつとして、平成8年に塾員・教職員を対象として発足しました。平成12年には学部・大学院の学生にも発行され(学生カードは、利用限度額10万円、国内キャッシング不可等、クレジットカードが正しく利用されるよう安全面に十分に配慮しています)現在の発行枚数は塾生(学生)カードを含めて3万8千枚を超えています。慶應カードによる収益は、学生の皆さんへの奨学金として有効に活用され、義塾の教育活動に寄与しています。慶應カードを通じ社中協力の輪もさらに広がるものと期待しています。
慶應義塾長 伊藤公平